今回の記事では ルーメンアシドーシス の原因と治療、予防、牛の第一胃の発酵不全について栄養学的観点から解説していきたいと思います。
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ルーメンアシドーシス の治療と原因、予防について
ルーメンアシドーシス の基本的な原因には濃厚飼料の過給や盗み食い、与える飼料の設計ミスなどにより、易発酵性炭水化物が過剰摂取してしまうことで起こります。適切な治療が重要になってきます。
ルーメンアシドーシス の原因:多量のVFAの産生、pHを緩衝できない
ルーメンアシドーシスは炭水化物によってルーメン内微生物による異常な発酵が起こり、多量の揮発性脂肪酸(VFA)が産生されpHが低下、さらに粗飼料の不足で唾液分泌(重炭酸を含む)が低下し、pH緩衝能が低下する(簡単に言うとpHをがあげることができない状況が起こる)ことが原因です。
また、これと同時に絨毛にも影響を及ぼし酸が分泌されることによってルーメンパラケラトーシスを起こします。絨毛におけるVFAの吸収が不足し、ルーメン内にVFAが増加することでpHが低下してルーメンアシドーシスとなる。
pHが低下すると乳酸発酵菌が増えてしまい、pHの低下を加速させてしまいます。
ルーメンアシドーシスの関連疾患(神経症状、パラケラトーシスなど)
ルーメンアシドーシスに続発する疾患の機序を以下に示していきますね。
グラム陽性菌の増加、グラム陰性菌の死んでしまうことでエンドトキシン(毒素)の放出が起こり、臓器(特に肝臓)で炎症性サイトカインが放出されます。このエンドトキシンとサイトカインによって神経症状やルーメン・第四胃運動の抑制が起こります。
パラケラトーシスによって肝膿瘍も誘発する恐れもあります。さらに、ケラチン合成異常による蹄葉炎も発生するリスクも上がります。
蹄葉炎についてはこちらの記事をチェック

ルーメンアシドーシスの治療と予防について
ルーメンアシドーシスの治療や予防は粗飼料不足、濃厚飼料過給などによって反芻する回数が落ち、唾液の分泌が落ちてしまうことに起因します。
これにより第一胃への重炭酸イオンが行き渡らなくなり、胃内のpHが低下してしまいます。
これはルーメンアシドーシスが悪化する原因にもなり得ますね。
ルーメンアシドーシスの予防策
ルーメンアシドーシスを予防するためには大きく飼料自体を改善することと飼育環境や飼料設計を改善することが考えられます。
ルーメンアシドーシスの予防|飼料編
ルーメンアシドーシスを予防するための飼料に関してですが粗飼料に関して言うと、十分な量で柔らかすぎずある程度の長さを持った栄養価の高い粗飼料を用いると良いですね。濃厚飼料は粗く、加熱しすぎていないでんぷんの量が適切な飼料を給餌しましょう。
ルーメンアシドーシスの予防|飼育管理編
ルーメンアシドーシスを予防に関して飼育環境では濃厚飼料の盗み食いを予防したり、飼料の設計ミスなどを改善していきます。飼育している群の管理や編成を考え、給与する量や数を適切なものに変更してあげましょう。
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