肝蛭症 (肝臓に寄生する寄生虫)の症状・治療

牛の肝臓に寄生する肝蛭(かんてつ)という寄生虫は 肝蛭症 を引き起こします。世界中の温帯地域に生息していて、感染すると肝臓の胆管に寄生し、肝臓の線維化・肝硬変などの肝障害を起こすため、畜産領域では注意をすべき寄生虫(吸虫)と言えます。

肝蛭症 (肝臓に寄生する寄生虫)の症状・治療

肝蛭症の原因

肝蛭症が起こる原因は肝蛭という寄生虫が肝臓の胆管という場所に寄生したためです。

肝蛭の中間宿主はヒメモノアラガイ・コシダカヒメモノアラガイなどの貝類で、これらの体内で成長します。ある程度、成長するとセルカリアという形態になり、貝の体内から出ます。

外界に出た肝蛭はメタセルカリアという形態になり、水辺の草や稲などに付着、食事と一緒に牛に食べられるのを待ちます。

メタセルカリアの状態の肝蛭を牛が食べてしまい、消化管に移行します。腸管を破り、腹腔に侵入、肝臓表面にダメージを与えながら、深く潜り込んで行きます。最終的に胆管に寄生するという経路を辿ります。

そのほかにも粗飼料として利用する稲わらに付着したメタセルカリアが原因となったり、ニホンジカなどの野生動物が感染に関与する場合も示唆されています。

肝蛭症の症状

肝蛭の中体の発育ステージや数によって症状は異なりますが、一般的には急性の場合で幼若肝蛭が大量に腹膜から肝臓に移行することによる腹膜炎や肝炎、食欲低下、消化器症状。

慢性の場合には肝臓に付着した成虫による慢性胆管炎、間質性肝炎、胆嚢炎、肝硬変などが認められます。

牛の 肝線維症 の症状・診断・治療

夏から秋に発症することが多く、牛よりも羊での症状が顕著に認められます。

異所寄生といって肝臓以外の臓器に寄生してしまうこともあり、子宮・肺・脳などに寄生する報告もあるようです。

肝蛭症の治療

肝蛭症を疑う場合には、まず上記のような臨床症状がないかを確認し、糞便検査によって肝蛭の虫卵をチェックします。

肝蛭と診断できた場合には駆虫を考えます。ただし、肝蛭の駆虫薬は発育ステージ、駆虫効果、残留を正しく検討した上で使用した方が良いです。

体重の減少や肝酵素の著しい上昇が認められる牛の場合には駆虫する前や後で対症療法を行うことが望ましいです。副作用の強くないものを使用しましょう。

肝蛭症の予防

肝蛭症を予防するためには、肝蛭に感染しないようにすること・肝蛭に感染した牛の駆虫をしっかり行うことで二次的な感染を防ぐことが考えられます。

定期検診による肝蛭の陽性牛への徹底した駆虫、計画的な早期の廃用、放牧地でのチェック、汚染地域で草・稲わらの処理などが考えられます。

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